あなたと共有できない uncolingual
91cm × 210cm
ink and acrylic on canvas
2019【カミサキウタオ】名義で制作
カミサキ ウタオ
1964年 名古屋生まれ
1990年 多摩美術大学大学院修了
2001年 TWW2000審査員長賞受賞
2015年 全音現代音楽コンサートポスターイメージ制作
個展等展覧会多数
1987年 パンクバンド「ヒジョーネコ」Bass担当
2002年 サウンドパフォーマンス
2010年 ワークショップデュオ caps_roKc
2019_08/25
音を描いたり絵を奏でる行為は古い時代から行われていたのだろうし、画家と音楽家が職業欄に登場した昔から同様の試みがなされてきた。パウル・クレー(Paul Klee 1879-1940)はヴァイオリニストだったし、往復書簡を交わしていた作曲家のシェーンベルグ(Arnold Schönberg 1874-1951)と画家のカンディンスキー(Wassily Kandinsky 1866-1944)は前者が画家、後者はチェリストでもあった。この頃から音と画像はそれぞれサウンドアート、ヴィジュアルアートというメディアとして確立し、ビジュアルアーティストのマルセル・デュシャン(Marcel Duchamp 1887-1968)やジャン・デュビュッフェ(Jean Philippe Arthur Dubuffet 1901-1985)は作曲、即興演奏へと表現活動を広げていく。(以上、「SOUND ART フィルムアート社出版 2010年」参照)
近年、クラウド技術によるデータ共有が進み人間の感覚を、思考を、グローバルネットワーク化する方法がまた一歩拡張した。ネット上でありとあらゆる趣味・嗜好のデータを見たり聴いたりすることができるようになったことは見る権利、知る権利が確保され情報が共有されたということなのだろう。

まだ少年だった頃、好きな音楽をレコードからカセットテープにコピーして聴いた。レコード盤の溝が音を記録していると知っていても、目に見える溝の規則的な束とロックのビートが視覚的に重なることは無く、カセットに至っては幅が狭い磁気テープしか見えない。記録された音のイメージは、レコードジャケットやテープのインデックスラベルに書かれた文字情報とビジュアルくらいしか読み取れるメディアが無かった。そこで少年は自らジャケットを描き、テープのラベルを自作し始め・・・。誰かに届くことは無かった。自己満足を通りこして制御できない欲求の塊(いわゆる中二病)にしかならなかった。それは響かなかった。

2019_09/01
「おとしもの」
 子供の卒業式に出席した。卒業生や在校生の合唱が場を盛り上げていく曲の終わりにビデオカメラの作動音がステレオで耳に入った。サンプリング音入りの曲でもいいような気がしてきた。静かな夜の耳鳴りにも参っているが、聞こえるはずのエンジン音を発すること無く静音動作するハイブリッド車に目眩がしている。

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